今月の輝いている人

今月の輝いている人~本田香織さん

今輝いている女性、ビジネスウーマンをご紹介しています。

今月は
一般社団法人mina family代表の本田香織さんです。

 

◆インタビュー◆

◆今日は、
一般社団法人mina family代表 本田香織さんにインタビューさせていただきました。

本田さん 今日はよろしくお願いいたします。
最初に 自己紹介をお願いいたします。

 

はじめまして。
一般社団法人mina familyの本田香織と申します。
現在は一般社団法人子育てママの応援ぷらっとホーム理事、ウエスト症候群患者家族会(準備中)代表など、様々なことにチャレンジしています。

★HP:『障害や病気のある子どもとその家族を幸せに』
一般社団法人mina family

★通販サイト:mina family EC
★FB:本田香織

◆ 本田さんは どのようなきっかけで 現在のお仕事を始められましたか?

もともとは全く畑違いの仕事をしていましたし、独立する予定もありませんでした。むしろ縁の下の力持ちのような仕事にやりがいを感じ、人事や秘書の仕事に長く従事していました。

ですが、30歳の時に出産した長女が0歳で突然障害児となり、生活は一変しました。

生き甲斐だった仕事も、育児休暇後にアルバイト雇用で復職はしましたが、ほとんど会社に行けない・いつ何があるか予想がつかないという、本当に先の見えない日々でした。
自分のキャリアはこれで終わった、これからは娘のためだけに生きるんだ…と思いました。

そんな中、プライベートで開設した娘の闘病生活を綴ったブログが、思いがけずアクセスを集めるようになりました。
知り合いが増え、たくさんの方とお話をする中で、障害児を育てる環境の全貌が少しずつ見えてきました。
そこには綺麗ごとでは解決できない、根深く大きな問題が山積していました。その中の多くは、どこに相談しても解決しないような、長く当事者たちが『我慢して』やり過ごしてきたことばかりでした。
健常者には分からなかった、生活に差し迫った問題がいくつもあったのです。

当事者にしか分からないことがある。当事者だからこそできることがある
そう気付いた時、今までサポートしてきた起業家の方たちの姿に背中を押されるように、自らの起業を決意しました。

◆ 今の仕事で、どのような苦労したことや大変だったことがありましたか?

mina familyは、病気や障害のあるお子さんとそのご家族をサポートする目的で設立しました。
いわゆるチャリティーイベントやボランティア活動なども行いますが、それよりも重点を置いているのは『今まで放置されてきた、誰も解決できなかった問題の打開策を探る』取り組みです。
障害者を優遇してくれということではなく、健常者と障害者が相互理解を求めるための活動や、現在の生活に大きな支障をきたしている当事者への救済方法の提案などを行っています。

しかしながら、『過去に誰も解決できなかった問題』は、やはり当然ながらそこに大きな壁(原因)があります。中には法律の変更まで視野にいれなければならないものもあります。 いくら個人ではなく社団法人として体裁を整えても、その問題の大きさに、そもそも問題を議論するテーブルにさえつけないことが、今でも多々あります。

全てを解決する魔法のような方法はありえないので、これからも地道に『その問題を解決することで具体的に何がどう変わるのか』『いかに多くの人が困難を感じているのか』『どのような打開策があり、実現可能なのか』など、しっかりと議論の材料を揃えて、然るべき場所・然るべき方法で訴え、状況改善に努めたいと思います。

団体としては、運用の資金面も大きな課題です。現在は寄付と自身の持ち出しや事業資金融資、助成金などでの運営をしていますが、大幅な赤字で第一期決算を迎えます。 助成金や寄付以外の運営を目指しており、理想とする収益モデルの構想はありますが、そこに至るにはまだほど遠く、課題は山積しています。ファンドレイジングなど、もっと広く深く学んでいきます。

また個人としては、障害のある娘(持病があり長期療養が必要で、全介助の重度心身障害児です)のことを第一に、仕事にも影響がないようにすることがとても難しいです。

◆当事者の目で見ると、行政に対しても、課題が多いということなのですね。
この仕事のやりがいはどんなところでしょうか。

何よりもまず、私自身が『障害児の母親』という当事者ですので、成果は全て自身の生活に直結します。
たとえ一見すると自分とは関係のないことに見えても、必ずどこかで繋がっています。

そして同時に、『障害児のお母さん』達の役に立てることが、私にとって何よりの喜びです。
泣いて、怒って、落ち込んで、それでも子供を愛して踏ん張っているお母さんたちは、私の生きる希望です。 自身のキャリアもお金も投げ打ってでも取り組みたいと思えることがある、それが私の人生で何よりの財産です。

ただ、今まで沢山の人にサポートしていただき、本当に多くの支えをいただいて、ここまで来ることができました。
『障害児の母親』という不安定な状況にも関わらず、私を信用して託していただけること、ありがたいと共に大きな責任を感じています。
いつまでもみなさんの善意に甘える小さな団体でいるのではなく、mina familyが大きくなって実績を残していくことが、みなさんへの何よりの恩返しになると思っています。このまま『個人のお母さんの自己満足』で終わるのではなく、団体としてしっかり社会的な役割を担い、この団体を形として後世に残していくことが私の責任だと思います。

◆本田さんは、この仕事を通してどのように変りましたか?

団体を立ち上げる前は、娘と自分のことに必死で、周りが見えなくなることも多かったと思います。障害児と生きるということは辛いことも多く、また娘の持病も一進一退して大きな手術を受けたりと、心の休まらない日が多くありました。
その頃は自覚するほどに感情に振り回されたり、客観性を欠いたモノの見方をしていたと思います。

 

団体の代表となって、失ったものも多くあります。安定した収入、守ってくれる上司や会社の存在。起業すると半公人ともなりえるので、ある程度プライバシーを失うことも覚悟しました。
今まで秘書としてたくさんの代表者の方を見てきました。自分が旗を振るということについて知っていたつもりが、自分がその立場となって初めて、何も分かっていなかったと思い知らされました。

立場ができたことで、言いたくても言えないこと、飲み込まなければならないことも多々あります。自分で決断することが、こんなに難しく苦しいとは思ってもみませんでした。

それでも、娘だけでなく『病気や障害のあるお子さんとそのご家族』みんなを守ろうと決意した日から、強くなったと思います。
自分よりも、他人のことに強く心が動くようになりました。私は無力で、盾になることしかできない。それなら、せめて丈夫な盾になりたいと思います。

まだまだ主観的になることも多く恥ずかしい限りですが、守りたい人たちのため、これからももっと強い個人、そして強い団体になります。

◆本田さんの今を4字熟語で表すとしたら どんな漢字でしょうか。

眼高手低
(がんこうしゅてい:目は肥えているが、実際の技能や能力は低いこと。知識はありあれこれ批評するが、実際にはそれをこなす能力がないこと。理想は高いものの実力が伴わないこと)

どうなるべきかは語れるのに、手段をもたず、本当に情けなく悔しい思いをすることが多々あります。
自分の無知が今の課題なので、もっと学び、貪欲に、諦めずに前に進んでいきます。

◆今いちばん集中して楽しんでいらっしゃることは何ですか。

仕事です。娘が眠ってから仕事をすることが多いのですが、課題だらけなのでやるべきことも多く、色々調べたり勉強しているうちにあっという間に朝になります。

また来年には個人として書籍の発売を予定しており、その原稿も書き始めると没頭しています。
大学では文学部で日本語日本文学科を学んでいたこともあり、文章は読むのも書くのも好きです。自分の考えを整理する意味でも、文章を書くことはとても役に立っています

◆ 人生の中で嬉しかったことはありますか。

夫と出会えたことです。かけがえのない娘と出会わせてくれたのも、夫です。
神様がご褒美をくれたと思ったくらい(ご褒美をもらえるようなことは何もしてきませんでしたが)、嬉しかったです。

◆ 人生の中で何か後悔していることはありますか。

ありすぎて、答えきれません。。
ですが、過去の全てが今に繋がっていると思うと、全てこれで良かったとも思います。

◆本田さんは、これからどのように生きていきたいですか。

歳を重ねるほどに勤勉になるような生き方をしたいです。

夢は、おばあちゃんになってから全く新しい学問のために大学に通い直すことです!

◆ これから起業する方へのアドバイスがありましたら、お願いいたします。

学ぶべきこと、準備するべきことなど羅列すればキリがありませんが、結局は自分がどこまでやりきるか、だと思います。

私自身もまだアドバイスを出来るような立場ではありませんが、目の前のことを必死に誠実に積み重ねていけば、全てが繋がる日がきっと来ると思います。
特に、苦手なこと、嫌なことにも手を抜かず真剣に取り組んでいけば、いつかそれが自分の武器になります。

『高い壁を乗り越えた時、その壁はあなたを守る砦になる』

共に頑張りましょう。

◆お忙しい中 ありがとうございました。これからもますますのご活躍を期待しております!