今月の輝いている人

今月の輝いている人~小林保子さん

今輝いている女性、ビジネスウーマンをご紹介しています。

今月は福祉系の大学の教授で発達支援学がご専門 の 小林保子さん です。

 

◆インタビュー◆

◆きょうは
福祉系の大学で発達支援学を教えておられます
小林保子 さんに インタビューさせていただきました。

小林さん 今日はよろしくお願いいたします。
最初に 自己紹介をお願いいたします。

はじめまして。自称「なんちゃって教授」の小林保子と申します。
福祉系の大学で教員をしております。発達支援学を専門に、特別支援教育や障がい児療育を教えています。
ここ10数年は、障がいのある子と家族のQOLの研究を続けているのですが、一番興味があるのは女性のQOLです。
1962年生まれの51歳。 5月生まれの影響か、私物は緑色のもので溢れています。

◆どのようなきっかけで 現在のお仕事を始められましたか?

きっかけは、娘を妊娠中に胎盤早期剥離になったことでしょうか。26歳の時、あと3日で産休という日の朝、出勤しようと鞄を持った瞬間大量出血して救急車で病院搬送されました。 娘は仮死状態で生まれ、重い障がいが残りました。
当時、勤めていた会社をやむなく退職。首も座らず、口からミルクも飲めず、目が見えているのかも、耳が聞こえているのかも分からない娘の子育てに、2年間悪戦苦闘した末、それでも仕事が諦められずに再就職。それも娘が度々救急車で運ばれるようになり、ようやく「私が今、すべきこと」に気づき、思い残すことなく退職しました。

どうすれば娘を少しでも健康にしてあげることができるのか、私自身がまず学ばなければと思ったのです。とはいえ、今でこそ一般書店でもアマゾンでも障がいがある子に関する本は山ほどありますが、当時は皆無でした。それではいっそ大学院で学んでしまおうと、受験したのが研究の始まりで、今に至っています。
小林研究室HP

◆ 今の仕事で、どのような苦労したことや大変だったことがありましたか?

仕事に苦労や大変なことはつきもの。
いつも頭を悩ましているのは、若い学生さん達のことです。
なにしろ30もの歳の差がありますので、彼や彼女達の言動や行動は、理解不能なことばかり。「なんでそうなるの?」と驚かされる毎日です。
たくさん刺激をいただいているので、脳のアンチエイジングになっています。
LADY KOBAのブログ

◆学生さんとの感覚のギャップが逆に刺激となってるのですね!
この仕事のやりがいはどんなところでしょうか?

大学では、特別支援教育教員と保育士・幼稚園教諭を養成しています。
やはり一人でも多くの学生さんに、教員や保育士となって現場で活躍してほしいとがんばっているので、「先生、就職試験受かりました!」や卒業生から「現場でがんばっています!」という報告を受けた時は本当に嬉しいしですし、仕事にやりがいを感じます。

 

◆小林さんは、この仕事を通してどのように変りましたか?

実は、大学生の頃は、まさか将来教員になるなんて100%思ってもいませんでした。よそ様の大切なお子さんを教え育てるなんて、そんな怖いことできない。教員こそ、私には絶対向かない職業だと心底思っていました。
今でも冷静に考えると「よくやれているなあ」と思うくらいです(笑)。

ただ、娘が亡くなり、ある日突然子育てが終わってしまった。
ぽっかり心に空いた穴を埋めるべく、飛び込んだこの世界。
今は若い学生さんたちを育て、社会に送り出す仕事に携わらせていただく中で、教育の意義と面白さが心底わかるようになりました。

◆ 小林さんの今を4字熟語で表すとしたら どんな漢字でしょうか。

漢字は苦手なので、英語で“Once upon a time”(笑)。
いわゆる「むかしむかしあるところに…」です。

いつも娘に語り聞かせていた物語の始まりの一節。
「むかしむかし・・・」と娘の耳元で語り始めると、満面の笑顔を見せて喜んでくれました。
そんな娘の笑顔がみたくて、毎日いろいろなお話を語り聞かせていましたね。もちろん物語の始まりはいつも「むかしむかし」と勝手に作り変えて(笑)。エリックカールの「はらぺこあおむし」でさえもです。

まさしく娘と私を笑顔にしてくれる魔法の言葉。
娘の墓石に刻んであります。

そして今は、授業や講演、セミナーで、「むかしむかしあるところに、車いすに乗った、笑顔がとってもかわいい女の子がいました。」と語っています。 言葉も話せず、体も弱かったけれど、彼女は周囲のたくさんの人に愛され、支えられ、幸せだったと思っています。
これからも娘と私達家族が経験してきたことを語り続けることで、今、がんばっているお子さんやご家族に社会がやさしくなってくれたらと思っています。

◆小林さんが、今いちばん集中して楽しまれていることは何ですか。

5年前に設立した会社の運営です。 会社名は、株式会社Women’s Labo
素敵に生きる女性を応援する女性専用のサロン「ラ・アンジェ南青山」で教養講座やスキルアップ講座、個人様への各種相談事業と、女性の美を応援する化粧品の製造・販売を行っています。

子育て相談・発達相談は私が、社会貢献としてボランティアで行っています。
普段は大学の仕事があるので、仕事はほとんどスタッフの皆さんに任せっきりです(笑)。
とはいえ、夜、教員のスイッチをoff、社長のスイッチをonにして、講座や新しい化粧品の企画を考えるのは女性脳がフル回転してとっても刺激的。
何より、サロンを始めてからたくさんの素敵な方々とご縁をいただき、ご縁が新しい出会いへとつながっていくことが楽しくてなりません。

株式会社Women’s Labo HP
ラ・アンジェ南青山 HP
ラ・アンジェ南青山ブログ

◆人と人とのご縁を大切にされていらっしゃるのですね!
小林さんの人生の中でいちばん嬉しかったことは何ですか。

家族3人でアメリカを旅したことです。
旅の主な目的は、テキサス州サンアントニオ郊外のキャンプ場で開催されている障がいがある子のキャンプに娘を参加させることでした。せっかくなので、その後もサンアントニオの街や、ラスベカス、LAを旅して遊んできました。
それこそ、車いすで、医療器具を持っての旅は、珍道中(笑)。
出発当日まで、難題課題山積みでしたが、主治医の応援のもとに、現地でも様々な方がサポートして下さり、私達家族にとって貴重な経験、そして思い出になっています。
昔作ったページですが、旅の様子を紹介していますので、良かったらご覧下さい。
アメリカ障害児キャンプ体験記

◆小林さんの体験記は障がいをお持ちのご家族にとてもパワーをいただけますね。
小林さんは、人生の中で何か後悔していることはありますか。

「人生に後悔なし」です。
後悔している時間がもったいない。するぐらいなら新しいことに挑戦したいタイプです。

◆ 小林さんは、これからどのように生きていきたいですか。

これまで娘の子育てを通して、たくさんの方々に支えていただきました。今度は私が支える番です。
仕事でもまだまだ走り続けます。会社が軌道にのったら、障がい者雇用にも貢献したいですね。
その後は、on-offのバランスを取りながら主人と仲良く余生を楽しみます。

◆これから起業する人へのアドバイスがありましたら、 お願いいたします。

まだ起業して5年。アドバイスができるような立場ではありませんが(笑)、卒業していく学生さんにも必ず伝えていることが二つあります。

「石の上にも3年、めざせ5年」 そして、 「迷ったら直感を信じて」 です。

仮説に対して科学的根拠を探求していくのが研究者なのに、まったく根拠なくてすみません。 でも、迷った時ほど、直観がものを言うということを、経験から学んでおります。
会社を起こすだけなら、1円あれば誰にもできますが、それは始まりにすぎません。めざせ、5年!迷ったら直感で勝負!です。

 

◆お忙しい中 ありがとうございました。これからもますますのご活躍を期待しております!